2005年10月29日

渡辺知明/クロの話(5/5)

(5)クロの死とその後
「それから一年もたたないうちに、クロはじつにあっけなく
死んでしまった。 二、三日クロの姿を見かけないと思って
いると、近所の靴屋の頭のはげたおじさんが店に来て教えて
くれた。家の前の通りを渡った路地にクロらしい猫が死んで
いるというのだ。たしか夕方のことで、私も母といっしょに
確かめに行った。……」
2分36秒(1999年録音)
原作・表現よみ:渡辺知明


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2005年10月28日

渡辺知明/クロの話(4/5)

(4)クロの犯罪
「私はクロがときどき魚を盗んでくるのを知っていたが、
実際に現場を見ることはなかった。事件はたいてい母に
よって秘密のうちに処理されていたからである。
 もちろん、父が事件を発見する場合もたまにはあったが、
それよりも母がないしょで始末する場合の方がはるかに
多かった。もし、父がクロの事件のすべてを知ったならば、
とっくにクロは家を追われていたにちがいない。」
6分44秒(1999年録音)
原作・表現よみ:渡辺知明
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2005年10月22日

渡辺知明/クロの話(3/5)

(3)町で暮らすクロ
「私の育った町は古くから絹織物業の始まった土地として
知られている北関東の市である。その中心街から北に少し
外れた静かな商店街に私の育った家はある。市を南北に貫く
県道に面した木造二階建ての借家だった。もとは染めもの屋と
して使われていた家なので、柱の一部に濃紺の染料の染み
ついた部分もあった。」
7分58秒(1999年録音)
原作・表現よみ:渡辺知明
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2005年10月19日

渡辺知明/クロの話(2/5)

(2)父と母とクロ
「母の話によると、クロは私の生まれる一年前から家に
飼われていたそうである。 /新婚当時、父と母が村の
雑貨屋の二階に下宿していたとき、母は近所の農家から
ちょうど掌に乗るくらいの子猫をもらってきた。その農家
では持参金がわりにカツオ節をつけてくれたという。……」
7分43秒(1999年録音)
原作・表現よみ:渡辺知明

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2005年10月17日

渡辺知明/クロの話(1/5)

(1)クロという猫
「子どものころ、私の家ではいろいろな猫を飼っていたが、
いちばん最初の猫がクロだった。クロは細く引き締まった
体つきをしたメスの日本猫で、とくにみごとなのは長く伸びた
黒いシッポだった。/その名前どおりに全身つややかで、まっ黒な
毛並みの猫だったが、二ヵ所だけ白い部分があった。 ……」
6分00秒(1999年録音)
原作・表現よみ:渡辺知明

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